法人のパソコン廃棄の方法は?ルールや注意点を解説

会社で使わなくなったパソコンを廃棄する場合、原則として「産業廃棄物」として処理する必要があります。家庭のパソコンのように、自治体の回収ボックスや家電量販店に持ち込むことはできません。
そして重要なのは、処理を業者に委託した後も、排出事業者には、委託先の許可や処理状況を確認し、適正処理を確保する責任があります。
委託基準に違反した場合や、適正処理に必要な注意を怠った場合には、委託した企業も行政処分などの対象となる可能性があります。
この記事では、法人のパソコンの廃棄の方法やルールについて紹介していきます。
法人のパソコンは「産業廃棄物」。自治体・家電量販店では捨てられない
法人が業務で使ったパソコンは「事業系パソコン」と呼ばれ、廃棄する際は産業廃棄物として扱われます。
産業廃棄物とは、事業活動にともなって発生する廃棄物のうち、法律で種類が定められているものを指します。パソコンは金属くず・廃プラスチック類・ガラスくずなどの混合物として、この産業廃棄物に該当します。
そして産業廃棄物には、排出事業者責任という原則が適用されます。これは「捨てた会社が、最後まで責任を負う」という考え方です。業者に引き渡しただけで、排出事業者としての適正処理に関する責任が直ちになくなるわけではありません。
つまり法人のパソコン廃棄とは、単なる「不用品の処分」ではなく、法令にもとづく手続きと、それを証明する記録を残す業務なのです。
法人のパソコン廃棄の全体像
法人のパソコン廃棄は、次の6つの工程で進みます。
- 廃棄対象の確定 + IT資産台帳との突合
- 業者の選定 + 許可証の確認
- 委託契約書の締結(収集運搬業者・処分業者それぞれとの契約が必要)
- データ消去の実施(引き渡し前が原則)
- 引き渡し + マニフェスト(管理票)の交付・回付
- 証跡の保管(5年間)/資産台帳の更新
業者に連絡して回収してもらうだけでは、マニフェスト・証跡管理などが不足する可能性があります。書類作業こそが、法人パソコン廃棄の重要なポイントです。
家庭用パソコンと法人パソコンの違い
パソコンの廃棄方法として、無料の回収ボックスやメーカーの無償回収という方法があります。しかし無償回収が可能なのは、ほぼすべて家庭用パソコンの話であり、法人パソコンに当てはめるとルール違反になりかねません。
項目 | 家庭用パソコン | 法人パソコン |
|---|---|---|
主に適用される法律 | 資源有効利用促進法/小型家電リサイクル法 | 廃棄物処理法/資源有効利用促進法 |
廃棄物の区分 | 一般廃棄物に該当し得る | 産業廃棄物に該当し得る |
自治体の回収ボックス | 利用できる | 利用できない |
PCリサイクルマーク | マークがあればメーカー回収は無償 | マークの有無に関わらず有償 |
マニフェスト | 不要 | 原則 必要 |
最終的な責任者 | 所有者本人 | 排出した法人(排出事業者責任) |
自治体が家庭から回収する小型家電リサイクル制度は、原則として業務で使うパソコンの排出方法として利用できません。この法律は、自治体が主体となって家庭から使用済み小型家電を回収する仕組みを定めたものだからです。
したがって、法人パソコンを自治体の回収ボックスに入れる、家電量販店の店頭に持ち込む、といった行為は制度の対象外となります。
法人のパソコン廃棄で必要になる主な証跡
法人のパソコンを廃棄する際は、適正に処理したことを説明できる証跡を残しておくことが重要です。
パソコンの廃棄では、以下3つの証跡を確認しておきましょう。
マニフェスト(産業廃棄物管理票) | 資産滅却報告書 | データ消去証明書 | |
|---|---|---|---|
何のための書類か | 委託した産業廃棄物の運搬から最終処分までの処理状況を確認・管理するための法的な記録 | パソコンの処分完了を示し、固定資産の除却処理や監査対応の証跡として利用できる書類 | ストレージ内のデータが復元不能な状態にされたことの情報セキュリティ上の証跡 |
誰が発行・交付するか | 排出事業者が交付する | 回収事業者・リサイクル事業者など | データ消去を実施した事業者 |
いつ必要になるか | 産業廃棄物の収集運搬または処分を外部に委託するとき | 決算、税務調査 | 情報漏えい事故の発生時、取引先・監査法人への説明時 |
保管期間 | 5年間(法定) | 会計帳簿の保存年限に準ずる | 社内規程による(長期保管が望ましい) |
必須度 | 法令上の義務 | 法令上一律の必須書類ではないが、処分の証跡として保管が望ましい | 法令上一律の発行義務はないが、データ消去の実施を説明できる証跡として取得・保管が望ましい |
業者に依頼して、パソコンを廃棄する際には、どの書類が発行されるかを確認してください。
パソコンの廃棄でやってはいけない5つのNG行為
NG行為 | リスク |
|---|---|
粗大ゴミ・不燃ごみとして出す | 産業廃棄物の不適正処理にあたる恐れ。そもそも回収されない |
許可を持たない業者に引き渡す | 委託基準違反。委託した側の法人も処罰対象になる可能性 |
初期化だけして手放す | 市販の復元ソフトで読み出され、情報漏洩になる恐れ |
社内でドリルやハンマーで破壊する | 有害物質の飛散、バッテリー損傷による発火の危険 |
廃棄後、IT資産台帳を更新しない | 所在不明のIT資産が生まれ、監査で指摘を受ける可能性 |
特に無許可業者への委託は要注意です。街を巡回する無料回収車両や、実態のわからない業者に法人パソコンを渡した結果、それが不法投棄されれば、排出した会社が責任を追及される可能性があります。
法人がパソコン廃棄で守るべきルール

法人がパソコンを廃棄する際には守るべきルールがあります。ルールを遵守の上で廃棄をしてください。
マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付が必要
マニフェストとは、産業廃棄物の処理を外部に委託するときに、排出事業者が発行する伝票のことです。正式名称は「産業廃棄物管理票」といいます。
「いつ・何を・どれだけ・誰に渡し・最終的にどう処理されたか」を追跡するための伝票です。宅配便の送り状に似ていますが、異なるのは、発行者が荷物の送り主(=排出事業者)自身であり、法律で義務づけられているという点です。
パソコンは回収・再資源化が必要
パソコンは、資源有効利用促進法という3R(リデュース・リユース・リサイクル)を推進するための法律で、「指定再資源化製品」に指定されています。
これは、メーカーに対して自社が製造した製品の回収・再資源化を義務づける制度です。
したがって法人パソコンについても、メーカーには回収・リサイクルができる状態にする義務があります。そして排出する事業者側には、メーカーが行う回収・リサイクルの取り組みに協力することが求められています。
家庭用パソコンには「PCリサイクルマーク」があり、マークがついていればメーカーの回収は無償です。
一方、法人が使用したパソコンは、PCリサイクルマークの有無にかかわらず、メーカー回収は有償となる点に注意が必要です。
法人パソコンの4つの廃棄方法
法人パソコンの廃棄ルートは、大きく4つあります。
順番に解説していきます。
産業廃棄物処理業者
もっとも正統的で、もっとも汎用性の高い廃棄方法です。
産業廃棄物の収集運搬・処分の許可を都道府県知事等から受けた事業者に、正式に委託します。
パソコンのメーカーを問わず引き取ってもらえるため、社内に複数メーカーのパソコンが混在している場合には第一候補になります。また、パソコン以外のオフィス什器や機器も同時に処分できるのが強みです。
注意点としては、データ消去が標準サービスに含まれていないケースが多いことです。産業廃棄物処理業者は「モノを適正に処理する」プロであって、必ずしも「データを安全に消す」プロではありません。
データ消去を依頼できるか、できるとして消去方式は何か、証明書は出るかを、必ず個別に確認してください。
メーカー回収
パソコンを製造したメーカーの法人向け窓口に、直接回収を依頼する方法です。
最大のメリットは信頼性です。メーカーは資源有効利用促進法にもとづいて回収・再資源化の義務を負っており、法令に基づく回収・再資源化ルートであり、処理方法や証跡を確認しやすい点がメリットです。
注意点としては、複数メーカーが混在する場合の手間です。メーカーごとに申込窓口も手続きも料金体系も異なります。社内に4社のパソコンが混在していれば、4回の申込と4通りの手続きが発生します。台数が少なく、台数が少ない場合や、メーカーがある程度統一されている場合に利用しやすい方法です。
PC3Rの事業系パソコンリサイクル
意外と知られていないですが、活用できる廃棄方法です。
PC3R(一般社団法人パソコン3R推進協会)は、パソコンメーカーが共同で設立した業界団体です。この協会は「事業系パソコン小口回収スキーム」という仕組みを運営しており、参加しているパソコンメーカーに代わって、業務で使用済みとなったパソコンのリサイクルを引き受けています。
このルートの決定的な特徴は、マニフェストの交付が原則として不要である点です。
処理の流れもシンプルです。協会指定の輸送業者が宅配便で回収し、広域認定を受けた再資源化施設でパソコンを解体・分別し、金属やプラスチックなどの資源として再生します。ハードディスクは物理破壊されます。そして完了後には、廃棄証明にあたる「資産滅却報告書」が発行されます。
ただし、対象となるメーカー・機種・受付条件・料金は協会の規定によります。自社のパソコンが対象かどうかは、必ず事前にPC3Rの公式サイトで確認してください。また、データ消去の取り扱いについても事前確認が必須です。
リサイクル業者
法人パソコンを対象にリサイクルを行っている専門業者に引き取ってもらう方法です。
中には無料で回収を行ってくれる業者もおり、コスト面では優れている選択肢です。
一方で、排出事業者責任そのものが消えるわけではありません。引き渡す相手が実在する事業所を構え、適正なリユース・リサイクルの実績があるかは、必ず確認してください。
まだ使えるパソコンの場合は買取してもらうことも
廃棄するパソコンがまだ使用できる状態であれば、買い取ってもらえることがあります。
買取サービスを利用することで、廃棄コストを抑えることができ、新しいパソコンの調達費用にもなるでしょう。
レンタルマーケットでは、法人向けにパソコン買取サービスを提供しております。
事前WEB見積もりが可能で、全国どこからのご要望にも対応しております。
ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
法人パソコンを廃棄する際の注意点

法人のパソコンを廃棄する方法について、ご紹介してきました。
パソコンの廃棄方法は複数ありますので、最適な方法を選択してください。
併せて、廃棄する際には、注意が必要なことがいくつかありますので、確認しておきましょう。
証跡を保管する
前述の「3つの証明書」を、それぞれの保管ルールに従って保存します。マニフェスト各票は5年間。資産滅却報告書は会計帳簿とともに。データ消去証明書は、少なくとも情報が価値を失うまで。
IT資産台帳から除却する
廃棄したパソコンの情報を台帳から削除(または「廃棄済」ステータスに更新)します。これを怠ると、実在しない資産が台帳に残り続け、次の棚卸で「所在不明パソコン」として現れます。
管理シール・企業ロゴを剥がす
見落とされがちですが、重要です。パソコンの筐体に貼られた資産管理シール(資産番号・部署名・IPアドレスなどが記載されていることがあります)や、企業ロゴのステッカーを剥離してください。
万一そのパソコンが不適切に流出した場合、シールが残っていれば、どの企業から出たものかが即座に特定されます。データが消えていても、「◯◯社のパソコンがネットオークションに出品されている」という事実だけで、トラブルになることもあるので、要注意です。
データの消去を確実に行う
法人パソコンでは外部に漏らしてはならない情報が多く保存されていることがあります。これらのデータを確実に消去しておきましょう。
ただし、初期化やゴミ箱を空にするだけでは、復元される可能性があり、完全な消去とは言えません。HDD・SSDの種類や使用状況に応じて、上書き消去、暗号化消去、専用コマンド、磁気消去、物理破壊などから適切な方法を選ぶ必要があります。
自社でデータ消去を行うこともできますが、自社でデータ消去を行ったにも関わらず、消去漏れがあった際にはトラブルになりやすいのも事実。より安全なデータ消去という点でも専門業者に依頼するのがおすすめです。
信頼できる業者の選定
パソコンの廃棄を依頼する業者は、信頼できる業者を選定することが重要です。
無許可業者への委託は、委託した側の法人も責任を問われます。また、依頼した業者が不法投棄を行った場合、委託した側の法人も責任を問われますので、これまでの実績などを確認の上で、確実に正しく廃棄をしてもらえる業者を選びましょう。
法人パソコンは廃棄・交換することも重要
法人パソコンの廃棄についてご紹介してきました。
上述の通り、法人がパソコンを廃棄することは書類の管理、業者の選定など手間がかかることも多く、できるだけ長くパソコンを使い続けたいと思っているかもしれません。
ただ、同じパソコンをずっと使い続けることはあまりおすすめできません。
セキュリティリスクが高まる
古くなったパソコンを廃棄せずに使い続けることで、セキュリティリスクが高まります。
OSのバージョンは一定期間を最後に更新・サポートが止まり、新しいバージョンがリリースされます。サポートが終了したOSは、脆弱性が見つかっても更新プログラムが提供されない場合があるため、原則としてサポート対象のOSへ移行することが重要です。
OSの脆弱性を利用した攻撃の被害を防ぐためにも、サポート期間を確認の上で、適切なタイミングで買い換えることが重要です。
業務に支障が出るから
長期間パソコンを利用することで、バッテリーの消耗が早くなったり、処理に時間がかかったりするなど不具合が発生することはよくあります。
こういったトラブルが発生すると、業務を効率的に進められなかったり、そもそも業務ができなかったりといったことになってしまうことも。
パソコンの法定耐用年数は4年ですので、4年を1つの目安に、パソコンの状態も確認しながら、適切なタイミングでパソコンの交換を行うのがよいでしょう。
廃棄業務そのものを"ゼロ"にする パソコンレンタルという選択肢
法人のパソコンでは、購入ではなくレンタルという選択肢もあります。
パソコンをレンタルで調達した場合、そのパソコンの所有者はレンタル会社です。
したがって、契約が終了したとき、利用企業がやることは返却するだけです。
- 産業廃棄物処理業者を探す必要がありません
- マニフェストを交付し、5年間保管する必要がありません
- 通常は、廃棄費用を別途手配する必要がありません
レンタルマーケットでは、法人向けのパソコンレンタルサービスを提供しております。
レンタルマーケットをご利用いただければ、廃棄の手間やコストの必要なく、返却のみで完結します。お客様のご要望に合わせて最適なパソコンをご提案させていただきますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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