コラム一覧

Column
2022.02.28

PCキッティングをするために必要な知識とは?正しいキッティングを行うための8つのポイントを解説

皆さんは”キッティング”という作業を行ったことがありますか?企業の業務を遂行するためのPCのセッティング手続きとして必要不可欠な作業であるキッティングですが、これらの作業は基本的に企業の情報システム部門などが担当することでもあるため、業務のために必要な手続きであるとは分かっていても実際にキッティングを行ったことのある方は少ないと思います。

そして、業務ために必要不可欠なキッティングですが、思いの外、その手続きは煩雑であり、手続き上のミスによって設定が既存のPCとは異なってしまったりすると業務に用いることができないことはもちろん、業務上のトラブルの種にもなりかねません。

そこで、今回の記事ではPCのキッティングをするために抑えておくべき知識やポイントに関してご説明していきます。

目次

  1. 1 キッティングとはどんな作業なの?
  2. 2 キッティングを行う際に必要な知識とは
    1. 2.1 手作業(個別キッティング)の場合
      1. 2.1.1 インベントリデータの収集
      2. 2.1.2 ラベルの貼り付け
      3. 2.1.3 同梱物の決定
      4. 2.1.4 設定結果の保存
    2. 2.2 クローニングの場合
      1. 2.2.1 ボリュームライセンスの購入
      2. 2.2.2 プレインストールされているWindowsでマスターPCを作成しない
      3. 2.2.3 ライセンスの認証回数の上限を上げておく
      4. 2.2.4 デバイス情報の重複の確認
  3. 3 キッティングを自社で実施する際には
  4. 4 まとめ

キッティングとはどんな作業なの?

image2.jpg

キッティングとは、企業に新たに導入したコンピュータをエンドユーザーが業務のために利用できるように、各種の設定やソフトウェア、ドライバーなどのインストールを行う作業全般のことを意味しています。

似た言葉としてセットアップなどもありますが、キッティングの由来となっている、”kit”という言葉には「装備一式を準備する」という意味があるように、エンドユーザーが利用できるような状態にまで準備するということがキッティングの大きな目的となります。

具体的には以下のような作業がキッティングの内容となっています。

  • デバイスの開封・通電確認
  • 周辺機器への接続
  • BIOSのセットアップ
  • OSのインストールと初期設定
  • ネットワークの設定
  • 業務アプリケーションのインストールとライセンス認証
  • 各種ドライバー・ツールのインストールと初期設定
  • セキュリティの設定
  • ドメイン参加
  • 動作確認
  • 管理ラベルの貼り付け・台帳への記帳

キッティングを行う際に必要な知識とは

image3.jpg

キッティングを行うために必要となる知識やポイントはキッティングの手法によって違いがあります。

キッティングの手法には、①導入したPCを一台ずつ設定していく方法(手作業)と、②マスターPCという機器に用意したイメージ(設定)を導入した機器にコピーさせるクローニングという方法、の2種があります。

これらの手法にはそれぞれの特徴があり、以下のようにまとめることができます。

  選択する際の判断方法 メリット デメリット
手作業 1. デバイスの数が少ない
2. 導入するPCの機種や設定内容が多岐に亘る
・事前準備を必要としないためPCが届き次第作業に臨める ・作業者のキッティングに関する知識等に品質が依存する
・人為的なミスが起こりやすい
・1台のPCに対する人件費が高くなりやすい
クローニング 1. デバイスの数が多い
2. 導入する殆どのPCの機種や設定が同じである
・1度に大量のPCのセットアップを行うことができて効率的である
・マスターPCで作成したイメージがコピー元となるため、導入したPCの作業品質が均質化される
・ハードウェアの故障時にもマスターイメージを適用することで代替機を用意できる
・マスターイメージの作成と検証に最長1ヵ月ほどの時間を要する
・作業実施者には専門的な知識や経験が求められる
・導入機器の機種ごとにマスターイメージを作成するため多様な機器のキッティングには不向きである

それぞれの手法の概要を理解したところで、以下からそれぞれの手法で抑えておくべき知識・ポイントに関して触れていこうと思います。

手作業(個別キッティング)の場合

手作業でキッティングを行う際に備えておくべき知識やポイントは以下のようにまとめられます。

  • インベントリデータの収集
  • ラベルの貼り付け
  • 同梱物の決定
  • 設定結果の保存

それぞれに関して詳しく見ていきましょう。

インベントリデータの収集

新たにPC等を導入するということは企業にとってはIT資産が増えるということを意味しており、これらの管理を行うためには、ホスト名やIPアドレス、シリアル番号、MACアドレスといったインベントリ情報を集中しておくことが重要となります。

これらの仕事を担ってくれる資産管理ツールを導入するという場合にはあまり気にする必要はないのですが、これらのツールが未導入でありPCを展開してしまうとインベントリ情報の収集が困難になりますので、状況によってはエンドユーザーへの配布の前に適切な情報収集を行うようにしましょう。

ラベルの貼り付け

導入されるPCは一定以上の品質が保たれているとは思いますが、PCの稼働状況などによってはPCの不具合が発生することもあります。

そのような際にはエンドユーザーから報告が為されることになるかと思いますが、どのPCに不具合が生じているのかをきちんと管理するためにも資産管理番号などをラベルに記載するとともにPCに貼り付けておくことが賢明です。

ラベルの貼り付けは上記のようなケース以外にも、資産の棚卸を行う際にも各機器の識別が行いやすくなります。

同梱物の決定

PC等を新たに導入する場合にはPCといったデバイスだけでなく、複数のマニュアルなどが同梱されていることがあるかと思います。しかしながら、このマニュアルは数部だけ保存しておき残りは破棄してしまうということも多いようです。

これらの同梱物が必要となった際にはどこに保管されているのかなどが予め定められているとトラブルの際にも迅速に対応できるようになります。

さらに、近年ではこれらのマニュアルをPDFといったデータ媒体で提供しているメーカーも多く、それらのデータを参照するための共有ドライブやグループウェアを用意することもおすすめです。

設定結果の保存

個別キッティングは大半の作業が手作業となるため、いくら注意していても設定漏れなどが起きてしまうことがあります。そのような不備を後に確認できるように、バッチやスクリプトなどで設定状態を確認するとともに、その結果を保存しておくことも予め知っていた方がいいといえるでしょう。

クローニングの場合

クローニングでキッティングを行う際に備えておくべき知識やポイントは以下のようにまとめられます。

  • ボリュームライセンスの購入
  • プレインストールされているWindowsでマスターPCを作成しない
  • ライセンスの認証回数の上限を上げておく
  • デバイス情報の重複の確認

それぞれに関して詳しく見ていきましょう。

ボリュームライセンスの購入

PCの大量展開をクローニングを用いて行おうとする場合、OSのボリュームライセンスに付随している”再イメージング権”が必要となります。

この権限がないままにOSのコピーを行ってしまうとライセンス違反となりますので、必ずボリュームライセンスの購入を事前に行うようにしましょう。

プレインストールされているWindowsでマスターPCを作成しない

購入したPCに予めインストールされていたWindows OSは、購入したPCそのものに対してのみ使用が認められたものとなっているため、他のPCへのクローニングに用いることは許されていません。

必ずボリュームライセンスメディアをダウンロードし、インストールメディアを用いてマスターPCを作成するようにしましょう。

ライセンスの認証回数の上限を上げておく

クローニングを用いたPCの大量展開ではボリュームライセンスの購入・使用が不可欠でしたが、機器それぞれのライセンス認証を行うことに変わりはないため、キッティングを行う前にライセンス購入元であるベンダーに認証回数の上限値の変更を申請しておくようにしましょう。

基本的には購入したライセンス数と同数まで認証回数を増やしておけば手続き上の不備は発生しないかと思います。

この手配を失念してしまっているとキッティングの最中にライセンス認証が通らないこととなり、エンドユーザーへのPCの提供が遅れてしまうという事態にもなりかねませんので、忘れないようにしましょう。

デバイス情報の重複の確認

ウイルス対策製品や資産管理ツールの中には、インストールの際に個別(各アプリケーション専用)のIDを作成し、それぞれのPCを識別する仕様となっているものがあります。

このようなアプリケーションを各PCにインストールする際、クローニングによって個別のIDまでコピーされてしまい、管理サーバー上でデバイスの情報が重複してしまうというトラブルが起こることがあります。

このような事態を回避するためにも、各アプリケーションのベンダーにクローニングしても問題のない仕様となっているのか、ID初期化などの処理が必要な仕様なのかを事前に確認することが推奨されます。

キッティングを自社で実施する際には

image4.jpg

キッティングの各手法に応じた抑えておくべき知識・ポイントを抑えた最後に、キッティングを自社で行う際の注意点に関しても触れておこうと思います。

キッティングの自社実施の場合の注意点としては以下のものが挙げられます。

  • 作業手順の確認・事前検証
  • スケジュール管理
  • セキュリティ対策

キッティングの作業は思いの外、煩雑な手続きとなっており作業を行っている中では人為的なミスが生じることが1つや2つ、あるかと思います。

手作業であれば最後のチェック段階に不備の確認もとりやすいですが、クローニングでキッティングを行うといった場合の、マスターイメージ作成の段階でミスが生じてしまうとこれを元としてコピーを行うPCすべてが不良品と化してしまいます。

そのため、マスターイメージを作成してからもいきなりクローニングを行うのではなく事前の検証を行うようにしましょう。また、上記にとりあげた手続き全体として一定の時間を要することにもなるため、企業の業務との兼ね合いを考慮したスケジュール管理を行うことも重要となります。

まとめ

image5.jpg

PCのキッティング作業を行ううえで事前に抑えておくべき必要な知識やポイントに関してご説明してきましたがいかがだったでしょうか?

記事をご覧になって分かる通り、キッティングの作業は煩雑であり細心の注意を払って行わなければ大きなトラブルにもつながりかねません。ここでご紹介したことを実践していただき、適切なキッティングを行ってもらえればと思います。

また一方で、煩雑な作業がコストとなることを考慮して、キッティングの作業を外部の専門企業に依頼するのも有効な手段となります。また、業務の都合によってはキッティングが既に行われた機器をレンタルした方が、コスト的に安上がりで済むということもあるかと思います。

そのようなことを検討した際にぜひ依頼先のひとつとして考慮に入れていただきたいのが”レンタルマーケット”です。

レンタルマーケットでは個人向け・法人向けのPCや周辺機器のレンタルサービスを行っているとともに、これらの機器のレンタルにあたってはキッティングサービスも実施しているとともに、専門店ならではのナレッジを活かした、お客様が満足するサービスの提供を心掛けております。

機器のレンタルやキッティングに関して気になられた方は、ぜひ「無料見積もり・お問い合わせフォーム」までご相談ください。